2008.05.16
船で採る

 山菜は食べるときは美味しくて、一瞬にして終わる。しかし、採ること、加工、料理と三つの過程を経なければならないので、大変な労力と時間のかかることをお見えになるお客さんや生徒たちに話をする。

 6人のアーチストが泊りがけで来られるという話をしているとき、地元のお助けマンFさんが明日の朝、5時半に船を出すので山菜を採りに行こうと言ってくれた。まさに、渡りに船である。

 佐藤さん、マキ子さん、筆者が乗り込み、4人で出かける。船で行くと早い。15分も過ぎた頃、磐越西線の陸橋のさらに上に町道の紅い陸橋があるという断崖絶壁の渓流の出口に到着。メインは水菜というが、他の草との見分けがつかない。そのうち、茎が赤くて柔らかそうで、葉っぱが長めの物ということが分ってきた。ウルイとアザミ(野に咲くアザミではない)を少々手に入れ、それぞれの籠が一杯になったところで引き上げる。

最初にこれを食べた人、調理方法を考えてきた人、縄文時代から連綿とつながってきたのであろう智恵の歴史を感じた。

 採ってきた山菜はすぐに加工しなければならない。佐藤さんと筆者がはじめての経験として担当、マキ子さんが料理方にまわる。途中で訪れる地元の方々からいろいろな食べ方の情報が入ってくる。大変ではあるが、その気になれば、自給自足に近い生活もあり得るのかも知れないと思った。
 アーチストの皆さんが喜んでくれたのは、申し上げるまでもない。(御沓 一敏)