2009.01.25
牛に引かれて…
佐藤賢太郎

「牛に引かれて善光寺参り」という諺があります。家内は丑年生まれ、その家内に引かれて仕様がなく、雪降りしきる、それも夕方(雪なしでも一時間余かかる)喜多方市に向かった。帰りはどうなるのかと不安もあった。しかしここでキャンセルしようと言えば、コスモ夢舞台のイベントに協力しないと言われそうだった。

こんなに雪が降っても、どうして家内は行こうとするのか。それは、昨年11月Sさんから誘われて喜多方で行われた「歌声喫茶」に参加して、えらく感動してしまったからです。主宰者太田さんという方は、退職金を全て叩いても足りないというのに、それでもみんなで集う夢空間「歌声太田コミュニティーセンター」を建てたそうです。当初、奥さんからはとても反対されたそうであります。 

家内はその方の生き方と、みんなで歌を歌うことによって自分が元気になる、カラオケとは違う体験を実感したようです。それからというもの、「歌声喫茶」を和彩館で実現したいと、昨年暮れから和彩館においでになるお客様に「歌声喫茶をやりますので参加しませんか?」と熱く呼びかけている。

今まで家内は、コスモ夢舞台のイベントには進んでというより仕方がなく、裏方でこなしていることが多かった。ところが、イベントを自分から実施したいという意思はとても強い。コスモ夢舞台のイベントは、もはや家内の協力なしではできないのが実情だが、自分から企画して実行したいというその意思を尊重したい。

私はこうした思いを胸にしながら、雪道に車を走らせ「歌声コミュニティーセンター」に着いた。太田さんはじめ、Sさん以外は初対面の方であった。乾杯の後、一人一人自己紹介をすることになった。太田さんは72歳で元気はつらつ、皆さんから慕われて大勢の方が集まっていました。太田さんは「幸せにはいろいろな条件がありますが、Aさんの言うように、生きている間にどれだけ多くの親しい人間関係を作れるかがとても大切なことだと思います」と言っていた。私の場合は、切り口は歌ではありませんが同じ思いをしております。一人一人の挨拶にも深いものを感じました。

ここで思い至ったことは、立場や自分の趣味と違ったところに人はあまり行きたがらないものですが、それを超えてみると人間の幅が広がるのではないかということでした。自分の考えと少し違うからといって顔を曇らせてはならないものだとつくづく思いました。

この日参加した方々から、和彩館の「歌声喫茶」にも行きますと手を上げていただきました。
   和彩館にはいろいろな方がお見えいただくようになりましたが、コスモ夢舞台の発展を考えるとき、軸は動かさずにこのような受け容れもしていかなければと思うようになってきました。