2010.12.24
医療と食
佐藤賢太郎

11月末、病院で前立腺がんと診断された。幸い全身転移はないようだった。新潟県の担当医師から手術しかないと言われた。まさか自分がそうなるとは考えもしていなかった。一人前に私も病を持つことになった。

ところで上京したとき、ある医師は手術をしないほうがいいと私に言った。また仲間のある方からは私の体を心配してくださり川竹文夫著「がん・治る法則」という本をいただいた。その著書を帰りのバスの中で読んだ。
   簡潔に言いますと、玄米菜食、ストレスをためないこと、睡眠を取り規則正しい生活をすることが法則と、この著者であり医師は言っている。医師や病院の言うことは必ずしも真実とは限らない、そんなことを感じるこの頃ですが、薬の使用や手術をする前に食事療法を実践してみようと決めた。

白米は栄養価がなく、玄米は栄養価があってよいことは知っているが、なかなか続かない。お客さんが来たから今日はやめ、母が玄米は硬いと言うから今日は白米にする、こんな調子であった。

しかし、命に関わることになってしまった今、私たちは玄米菜食を徹底することにした。未だあの世には行くことはできない、まだまだやり抜かなければならない夢の実現がある。

田舎においてコスモ夢舞台を立ち上げたなかで食や農ということは必要条件であり、それをはずしてはいけない要素であった。

玄米にしても無農薬に近い作り方が一層大切になってきた。今年の夏、稗や草取りが厳しくてもうやめたくなった。しかし自分の命を左右することとなれば、また真剣になるしかない。その草取りの苦労も高額な放射線や薬の投与を考えると、頑張る力が出てくる。

食は命であるというようなことを若い時はあまり意識していなかった。なんでも感謝して食べたら栄養になると思ったときもある。その心はとても大切であるが、農薬や化学肥料を使わない野菜や米はもっと大切であると思えてきた。
   ここ豊実は、まさに山菜や無農薬の野菜や米を作り食べることができるところです。身につまされて、農との取り組みにも真剣さが出てまいりました。

コスモ夢舞台はイベントや建設、ビオトープつくりを通して本物を見つめるという心がありますが、大地の恵みをいただくことも大切な要素であると思う。そう思うと、ひと汗かいても有機肥料を畑にまき、そこから生まれる野菜を食べ、山菜を食べるという大地の恵みに感謝する信仰がより大切なのだと実感がわく。ともかく、安全安心の食は私たちが生きていく上で必須条件である。

現代という時代はとかく見えるものだけが真実と思われがちである。しかし、見えないものによって私たちは生かされているということもしっかり認識しておきたいものである。

写真は田んぼに落ちた落穂を拾ったものですが、戦時中のテレビドラマのように、母がビンに籾を入れて玄米にしているところです。捨てられてしまう米を大切にしたいという気持ちの表れです。