2010.12.26
冬に創る作品
佐藤賢太郎

私は鈴木政夫先生のような石彫作家になりたくて、弟子入り修行を3年間し、独立して25年間石を彫り続けてきた。その後、憧れていた師匠の彫刻とは離れたテーマを持つようになった。

さらに近頃は、技術もさることながら何を作りたいかを発見することが一番難しく大切なことだと思うようになった。なぜなら、それがないと作品に思い入れが弱くなってしまうからだ。

なぜそれをテーマにしたいのか、その思いを作品として表現できたら面白いことである。あるときは、天に飛び立ちたくて飛天の頌を作り、太陽の頌を作り、生命の芽吹きを人体化した。やがて故郷に思いをはせ、生き物たちをテーマにした。そして縄文との出会い、ギリシャとの出会いと、そのつど感じ興味を持ったことを作品にしてきた。
   思えば何の仕事をしてもそうだろう、実はコスモ夢舞台つくりも同じことではないかと思う。

ところで、来年3月3日新宿京王百貨店のギャラリーで二人企画展を組んでいただいた。私は今までにない作品を発表しようと準備している。二人展の相棒は大学時代のラグビーメイトである。お互いに工業大学卒業後、異色の道を歩んだ。40年たっての再会である。この機会に私は新作で挑戦しようと思う。DMは今までのようなのになるかもしれないが、そこからはうかがえない作品も出品します。

今、私は生命や、明暗または夜と昼、生と死、時の流れ、方位方角といったことを意識して作品にできればと取り組んでいる。夜と昼は別の世界である。夜の世界は幽玄でもあり、神の活躍する時間とも聞き及んでいます。

雪に閉ざされ、夜の時間が長くなる冬の季節には創造する時間であり、夜の世界を彫刻にはできないが、油絵で挑戦しています。今回は画廊のスペースが狭いので小作品にしますが、次回の個展では、大きい作品を発表したいと考えています。