2011.11.30
作品を作る想い
佐藤賢太郎

今年2月に二人展を京王百貨店で開催したが、この時点から作品を作るテーマが見え始めてきた。2012年1月、2月と個展の企画が決まったので、それがより明確化してきた。

私は過去何度も個展を開いてきた。自分らしさを表現できることが大切とは思っていましたが、これが一番難しいことであった。

作家にとって何が難しいかと言えば、何を作りたいかということが見えてくるかどうかということだと思う。当たり前のことだが、改めてそう思うようになったこの頃である。技術は最低限必要であるが、それよりも自分が何を作りたいかが見えることが大事である。

突然のことでしたが、1月から大宮の「あっぷるはうす」で個展開催となり、すぐ案内状つくりに入りました。そして、即テーマを「いのちの彫刻展」とすることにした

。正確に言うと“命と絆”です。作品は今までと変わりないかもしれないが、私自身が作品と向き合う心が変わったということであります。2月の横浜高島屋では、初めて動物だけの展示会としますが、「あっぷるはうす」では作品は人間も少し入ります。それは人の絆ということを意識しているからです。個の絆なしには、今日の私がなかったからであります。

 私は、かつて命と向き合うことはありませんでした。人間の命は限りがあります。しかし、そのことが身近に迫らなければ分からないでしょう。私は命ということを意識して、今後作品を作ろうと決めました。

ガンと診断されたことで命ということを意識するようになり、作品を作るテーマが絞られた。ガンにならなければ、真剣勝負はできなかったかもしれない。だからこうなったことは幸いであった。しかし、治るためには命がけの仕事、努力をしなければならない。こんな風に作品と向き合うことはかってありませんでした。これも病気のおかげです。

 思い入れを込めて作る、願いを込めて作る、既に作った作品も魂を入れる日がやってきた。見てくださる方がどう感じるかは分からないが、私の中で変わっていればまずよい。願わくは、私の作品によって生きる生命力を増していただけたらと願うだけである。そうあってほしいと私は気合を入れたい。自分自身が心のもち方、生き方によって生命力を再生しているからだ。

 例えば「あっぷるはうす」の個展には変わった作品が一点展示します。ただの石ころが額に入っている作品で、題名は「発見」とした。何を発見するかを、見る人の感性に投げかける作品としたい。