2016.11.17
13回里山アート展とシンポジウム
鈴木隆雄

10月22日、第13回里山アート展が終了した。毎回のことながら、資金力の無さを創意工夫と創造力を余すところなく発揮することで、会員の連帯を結集していく佐藤さんの思いは、澄んだ秋風の渡る苅田のキャンバスに見事に展開された。有形無形の素材を具現化し作品に仕立てる手法は、アートと生活、循環・再生・創造のサイクルに密着した里山アートの思想が十分に反映され伝えられたアート展であったと思う。里山アート展の会期が終了し、後片付けに参加した仲間と桃源の湯につかり、しばし語り合い、夕餉の席で飲み交わす酒と料理に酔いしれる心地良さは至福のひと時であった。

また今年は、ウーフ受け入れでモロッコから来日され豊実に来られたラシェドさんと出会った佐藤さんは、友情の絆を深められ、ご夫妻でモロッコに渡航し、その旅行記を出版されました。9月23日、ラシェドさんが豊実へ彼のお姉さんと再来訪され、奥阿賀・魅力ある野外舞台、モロッコフェスティバル、出版記念パーティから10月1日に開催された第13回里山アート展オープニングセレモニーまでの一連の繋がりを考えるとき、それを実行してきた佐藤さんと会員の人間力のゆるぎない強さを実感じた次第です。 

10月23日、小雨の降る中、狐の嫁入り屋敷の研修室でシンポジウムが開催され、「過疎で豊かな暮らしを」というテーマで佐藤さんから講演していただいた。

佐藤さんが郷里に根を下ろし作家活動をするためと、仲間と共有できるベースづくりのために20年に渡り共に築き上げた足跡の一つひとつが紹介された。プロジェクターを通しての映像は思い出深く懐かしい姿が映し出されていた。よくぞここまで来たものだと思いながら振り返る。少子高齢化が進み、過疎化が全国いたるところで起きていて、空き家問題もニュースで話題に上っている。そのような変化する生活環境のなかにあって、佐藤さんの思いは豊実での田舎暮らしを、人が集まり、活気のある元気で心豊かな田舎暮らしのできる生活を思い描いている。そのためには何をどのようにしたら良いのかを考え、移住者を募り、空き家を家主と交渉し格安の家賃で提供できるようにするなど具体的に進めている。

シンポジウムで、移住者第1号となった古田さんは、このふくろう会(コスモ夢舞台の前身)に参加した時、皆さん方が豊実での作業の大変さを言っていて、そのあとにくる感動が伝わってきてこの会に入った。豊実の豊かな自然のなかで、会の皆さん方との共同作業・共同生活を体験することによって、さらに生きる感動が湧いてきた。豊実で暮らしたいという思いが募り、奥様に相談したが反対された。しかし、豊実で健康で元気に暮らせるならと奥様と夫婦で移住する決断をした。覚悟をきめての移住の決断であった。

仲間がいて、佐藤さんご夫妻がいなかったらこうはならなかった。今のところ軽い病気やけがはあったが大事には至らず、豊実で生活ができる自負をもっている。佐藤さんご夫妻を見ていて、あれもやりたいこれもやりたいと意欲が湧いてくる。これから冬を迎え雪との生活がまっている。ここが正念場とも思う。冬を乗り越えて、春が来たその時の感動を味わいたい。古田さんの青年の志溢れるコメントは新鮮でした。 

豊実での特産物づくりの話が出された。収入源を得られる特産物づくりはハードルが高く難しいテーマであるが、一番近い方法は、無農薬の玄米をお土産用に2キロ詰め、3キロ詰めにして、贈答用にも売り出してはどうかという提案があった。ほかに笹団子も出たが、手間や賞味期限、販売する場所等の問題があり難しい。また、和彩館でいただいた玄米もちが非常においしかったので評判でした。来季のコスモ夢舞台イベント時にパック詰めにしで販売したいとマキ子さんからの希望がだされた。 

東京ブロックでは、月1回例会を行っています。佐藤さんはじめ新潟の会員の皆さんとの交流を図り、連帯を強くするための例会です。スモ夢舞台をテーマにした話し合いの場として継続して実施しています。里山アート展のこと、田舎暮らしのこと、田舎と都市の交流についてのこと等々です。豊実は冬ごもりに入りますが、東京ブロックからは、いつもエールを送らせていただきます。