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2009.6.26

佐藤賢太郎との対談 13

[パンつくりの達人](渡辺美紀)                              和彩館にて

渡辺美紀さんとはコスモ夢舞台のシャンソンコンサートで、出演者の同行者としてお見えになり、はじめてお会いしました。
   以来、親交を深めて参りまして、渡辺さんはふくろう会会員となりました。渡辺さんは繊細でありながら、大らかな性格をもたれているようです。ご自身はパン職人としての高い技術があり、手づくりパンを持参して会員の方に試食を進められていました。
   そのうち、滔々亭にパンを焼く石釜を作ってほしいと夢を語りました。そんな希望に応え、お陰さまで手づくりの石釜を作ることができました。あの一言がなかったら、滔々亭に石釜は作っていなかったでしょう。

石釜への想い
佐藤 石釜が完成したとき、美紀さんは感動されました。あのときはどんな気持ちだったのでしょうか?

渡辺 豊実の風景とあの滔々亭に、あまりにもぴったりと納まって
いる石釜! 私の思いをひとこと口にしたことで、あっというまに出来あがってしまったことに、驚きと感謝と、ひとつの責任を感じたことを思い出します。

ふくろう会に期待するもの

佐藤 会員になられてからの年数はまだ浅いほうですが、出会いは私個人と出演者との面識があったからだと思います。そこに、同行されていた美紀さんがふくろう会に入りたいとなったわけですね。
   ふくろう会に入って、何か変化したことはあるでしょうか。 今は、 何を中心にして活動を継続していますか?

渡辺 この素晴らしい仲間と一緒に、豊実の大自然の雄大さのなかで、食を通して私が出来る事を精一杯やっていくつもりです。

佐藤 北海道出身の美紀さんは厳しい環境の中で育ったそうですが、外見と違って意外と芯が強くて、人生に夢を満ち続けていく気持ちがとても強いように思います。

渡辺 人はそれぞれさまざまです。家族のこと、経済的なこと、健康のことなどいろいろな事情があります。でもその中で、60歳になる自分が、何をしてこれからの人生を送りたいのか、常に考えていることです。その中の一つにコスモ夢舞台があるのです。

オカリナつくりの動機

ところで昨年、私にオカリナを作って欲しいと市販のオカリナを渡されました。私はいつかやらなければと思いながら、忙しくてそのままにしておりました。ところが本日、家内にパン作りの指導に来られた美紀さんから「オカリナ出来ました?」と聞かれました。

佐藤 申し訳ないがまだ作っていないので一緒に作ろう、ということでさっそく粘土のこね方からつけ方、きり方を教えました。ところでまさか、
自分で作るなんて思ってもいなかったでしょうね。

渡辺 もちろんです。今まで経験したことがありませんし陶器を作ったことも一度もありませんでした。 

佐藤 石釜の次は、「オカリナを作って」と言いましたが、如何してオカリナだったのですか。

渡辺
 すごく単純な動機です。豊実の自然の中でオカリナを吹いたらどんなに気持ちが良いだろう。そんな思いで公民館のオカリナ教室に通い始めました。やっとドレミが吹けるようになっただけですが、今回豊実に来て森の中で、ニヤニヤしながら(?)奏でてみました。       
   それに思いもよらぬことに、賢太郎先生のご指導のもとに、オカリナを自分で作るというすごいことをやってしまいました。音がでないかもしれませんが、今、賢太郎さんの工房で乾くのを待っています。 (ところが数日後、突然賢太郎さんからの電話です。「焼けたぞ、素晴らしい。まさに縄文土器だ!」)

佐藤  オカリナは桃源の湯の火口で焼きました。それは野焼きと同じような焼き方でした。風呂のお湯を沸かすことにもなり一石二鳥と言うところでしょうか。しかも粘土は縄文土器を作る粘土で作ったのです。野焼きは私ははじめてです。あちこち黒いところがあったりして面白いですね。  
   美紀さんはキレイと言うより素朴な風合いが好みのようですが、そのように仕上がりました。

渡辺 (数日後、私の手の中に夢にまで見たオカリナがありました。ほんのり暖かくて、ずっしりと重く力強い素朴な色合いのオカリナ。そっと息を吹き入れました、、、音がでません。何故???)
   もう一度挑戦しなくてはなりません。一度で夢が叶うよりも失敗を重ねて出来上がるほうが喜びも何倍にもなりますものね。頑張ります!