2015.03.22
コスモ夢舞台塾と体験学習
佐藤賢太郎                

 コスモ夢舞台塾は自然の中で貴重な体験ができる教学の場であります。5月から9月まで、首都圏から中学生が学校行事として参加しています。その体験する内容は、その時々、季節によって変わります。しかし、自然の中から学ぶということに変わりません。

なぜ自然の中で子供たちが学ぶことが大切なのかを踏まえて述べてみます。全国の小中高の現代っ子は、自然の体験が少ない。国立少年振興機構の調査によりますと、実体験から遠ざかるかわりに、テレビコンピューターなどによる疑似体験に馴染んでいるという。インターネットで日の出を拝み、テレビで日本百名山の案内をしてもらい、プラネタリウムで夜空を見ることもできます。疑似体験は、単なる知識として身につくだけで、身体全体で感じ取ることはできません。「実体験の中でこそ、人知を超えた存在に感動し、人の勇気や優しさに感動し、心と心が共鳴し感動する」とまとめてありました。

私はここまで読んで、かつて体験した事例を思い出しました。

関東のある市から、登校拒否の女子中学生2人が我が家にやってきました。当然ながら、挨拶も言葉も少ない子供たちです。私は彼女たちを連れて小川に入り、そして崖を登らせました。それはまさに、自然の中での無言の教育でした。そして泥だらけになって必死に登ったことで、本人たちは生まれて初めて、やりきった達成感を味わったのだろうと思います。その夜、彼女たちは別人のように家内に話し始めました。学校に行けなかった登校拒否の生徒たちが変わったのを今でも覚えています。 

この感動こそが人間力を育みます。そして、人と会話できる力も育てます。気付きの感性は、おのずと磨かれ、おのずと鋭くなっていきます。自然体験や生活体験の少ない生徒ほど、「道徳観や正義感」が弱いという結果もあるそうです。

さらに昨年、大学生に自然体験の大切さを話したことを思いだします。自然体験が多いほど学習意欲や関心度も高まる傾向があり、自然体験が少ないほど学習意欲や関心度が低い。そのような報告もあるので、自然の中で学ぶ大切さを身に着けておくべきであると言いました。
私は雪国の田舎暮らしの中で、山の水を使って米を作り、山菜を食べ、薪ストーブで暖を取ります。それぞれに苦労もありますが、今ではむしろ、いろいろと工夫することを楽しんでいます。