2010.06.14
緩急の体験
佐藤賢太郎

体験学習は長くとも2泊3日です。我が家に到着し初対面のとき、彼らは少し緊張ぎみに「こんにちは」と挨拶をします。そして風呂焚き作業やさまざまな話をしてゆく中で、注意や時に叱ったりすることもあります。今回、神奈川県の海老名市からやってきた生徒たちは、お別れのとき「ありがとうございました」と笑顔で車の窓を開け挨拶をしました。こうして別れが繰り返されますが、さわやかな挨拶は嬉しいものであります。

いつもは4人が普通ですが、今回は都合があって、我が家に7人がいっぺんにやってきました。                 
   まず田んぼの草取りについて、説明をしました。今はほとんど除草剤で草を生えないようにしているが、今年初めて草を手で取ることにした。自然の環境によいし、安全な米つくりにはこれがベストなのだが、これがなかなかできないのが現状である。    

こんな小さな田んぼだからやる気にもなり、しかも生徒が大勢いるから今回は手で草取り挑戦すると伝えた。ところが田んぼに入ると、生徒はおたまじゃくしを掴んでみたり、しゃべりまくったりなかなか作業が進まない。この一列がノルマ、目標と言ったりしながら続けさせた。
   翌日は丸太運び、これは意外とだらだらせず運べた。田んぼより興味があるようだった。さらに午後、薪割りを体験した。これには興味がさらに増したようで、マサカリを振っていた。

余談になりますが、このお寺は大名のだれそれが建立したということを聞くと「大名ではない、大工さんだろう」と反発した時期がありました。悠悠亭のある杉林を美しい森林にするにしても、枝打ちや生徒に間伐した丸太を運ばせるにしても、そこに強い夢や意思がないとできません。そう考えると、誰だれ大名が建立したという意味合いが今ではよく理解できます。

今回は作業の合間に、アスレチック遊びや川遊びを入れました。川遊びは大変喜んで、水をかけあい、川の中に入り泳ぐ者もいて30分ほど遊んでいました。薪割りの片付け作業もあり「時間だ、上がれ」と指示をすると、素直に上がって来る生徒たちでした。    

緩急自在にスケジュールを動かして行く、今回の体験はこの点がよかったと感じました。ともあれ緩急自在のバランスは、生徒によってさまざまな対応すべきでなかなか難しいものです。生徒が喜ぶからといって、一律にこれがベストとは断言できるものではないように思います。