2007.05.22
体験学習・K中学校生

5月21日、1泊2日、体験学習のため千葉県よりK中学校の女子生徒4人が訪れた。
久しぶりの女子生徒受け入れということで一段と賑やかになることをスタッフ一同楽しみにしていた。

店主のマキ子さんに急用ができたので、筆者にお迎えの役が回ってきた。
場所は、最近やっと覚えた阿賀町公民館なので安心だ。でも、はじめてということは、何事も緊張するものである。早めに出たのだが、さらに、バスが予定より早く着き、生徒たちが降りはじめていた。

勿論、生徒と民宿の出迎え側の対面式なるものにもはじめて参加した。全体を生徒の役員が仕切っている様子から、なかなかしっかりと躾のできた学校であることが見て取れる。
いよいよ和彩館に泊まる生徒たちとのご対面である。仲良しグループの4人と自己紹介にあったが、初対面での感じはおとなしくて、優しそうな印象であった。

皆とは別方向の山の奥へどんどん入って行くための不安からか、最初は静かであった。ところがはじめて見る山の景色に1人が「トトロだ」と言うと、あちらからも、こちらからも「トトロだ」という声が上がり、車の中からすでに、トーンが上がり始めた。
「蕨、山菜」という言葉さえ知らなかったのには驚いたが、テレビの画面ではない本物の「トトロ」に出会ってからの彼女たちのリアクションが楽しみだ。

お昼のメニューは餃子である。餃子の皮に具を詰めてもらう。なんと100個作ったという。
テニス部が3人に吹奏楽部が1人ということだが部活に関係なく、伸び盛りの子は食欲も旺盛だ。
「こんなに餃子をたくさん食べるのは初めて……」といいながら箸は止まらない。

翌日は午前中で帰るため、時間がないと思ったので、合間を見て、縄文館を見学してもらう。
いつものように「争いのなかった1万年の生活」「必要な分だけ自然の恵みをいただく生活」「全てに魂が存在する観念の生活」を中心に山菜を採るときにも根こそぎにしないようにと伝える。熱心に聴いてくれるので、こちらも説明のし甲斐がある。

お昼休憩の後、午後の最初は、風呂焚きからスタートしたのだが、ライターの火のつけ方から練習しなければならない。
当初、杉の枝の山を処分しようと思ったが、枝を1本ずつしか運べないので、彼女たちには風呂の中の掃除を中心にやってもらうことにした。
また、杉の葉や枝は付きっ切りでないとすぐに、燃え尽きてしまうので、諦めて、大きな丸太を放り込んでボイラーの前を離れることにする。

田んぼに入ってみたいという彼女たちのリクエストに応えて、急遽、メニューになかった田植えをやることにする。ところが、ビールケースの上にアルミの足場をかけた1本橋を渡るのにワーワーキャーキャー黄色い声が上がる。思いがけないところでシャッターチャンスが生まれるものだ。 
夏のような陽気なので、思い切って裸足で入ってもらう。ヌルッとするはじめての触感にここでも大騒ぎである。
動きは今一つでも、大勢というのはすごい。あと一日で古代米の田植えも終わりそうなところまでこぎつけた。列が不揃いなのは目をつぶることにしよう。

この後は、田んぼの周りでフキを採り、さらに、ストーンサークルの候補地にあがっている山へ行って蕨採りをする。草の中にあるのを見つけるということは、大変なことのようだ。

自分たちが掃除した風呂に入るのだから「ごゆっくり」と言ったのがいけなかったのか、可なりの時間が経っても帰ってこない。心配になって、マキ子さんが車で迎えに行くことになる。
子どもたちに共通して言えることは、ふくろう会の人たちと違って、4人が一緒に入るということがないから時間がかかるのである。

夕食のメニューは、新鮮な野菜も肉もたっぷりな焼肉である。特に、新タマネギが甘くて美味しいと評判であった。
楽しみにしていた通り、女の子たちはおしゃべりしながら、笑いが入り、良く食べるので食卓の雰囲気が盛り上がる。後片付けもしっかり手伝う。
筆者が休む頃には、2階の生徒たちは静かなようであったが……。

翌日は、11時20分に出発予定ということで、早めにそばうちの準備に入る。全員が仲良く、積極的にそれぞれの工程に参加する。今回も美味しいそばができたのだが、食べるのがゆっくりであるため、記念撮影もそこそこに、手作り文集を渡すと慌ただしく掛け去って行った。 

お別れ式では、全員で「ソーラン踊り」をやるので見て欲しいと言われたが、残念ながら私たち夫婦は留守番役で残ることになる。 
マキ子さん曰く、校長先生のご挨拶がすばらしかったという。“一生のお付き合いになるかもしれない大事な出会いである”といった内容だったように聴いている。何時の日か、この内の誰かが再び、豊実を訪れることがあるかもしれない。
1泊2日としては、目一杯の体験メニューであったが、出来れば2泊3日の時間は欲しいところである。 (御沓一敏)