2006.09.12〜14
体験学習・K中学校生 

9月12日の夕刻、東京都のK中学校・男子生徒2名が和彩館に到着した。素直そうな子供たちだが、2人とも極度に緊張している様子である。
人数が少ない性なのかと思っていたら、夜、こっそりとマキ子さんにそれぞれ“小食である”ことと、“蕎麦アレルギーがある”ということを打ち明けたと言う。それくらいの悩みで良かったとこちらもホッとする。

学校に近いためか、夜、寝るのも朝、起きるのも遅いという。しかし、ここに来たらこちらの生活リズムに添ってもらうということで、翌日は6時からの朝仕事で桃源の湯横の草むしりをしてもらう。
空気が美味しいし、頭がスッキリしていますと言う。
目標の場所の半分を終らせて、朝食にする。小食の悩みがどこかへ行ってしまったかのように食が進んでいた。

一休憩の後、船渡大橋手前の国道脇の草刈を行う。生徒たちには小さな草刈鎌でやってもらう。
男の子にしてはしゃべる方なのだが、特に一人の生徒は何分にも声が小さい。
コミユニケーションを取るにも危険を知らせるときにも大きな声を出すことが大切であることを伝えながら、誰も見ていない大自然の中で「ハイ」の発声練習を繰り返す。さらにこれを今回の目標にしようと約束した。
この場所は、里山アート展の大きな作品を書くための大事な場所で、県の地域振興課のIさんとの記念すべき共同作業となる。

昼食はピザを自分の手で伸ばして、トッピングし、石窯で焼いて食べてもらう。もう、この時点では小食の悩みなど微塵も感じられない。
そこへ、地元のYさんが、アメリカ人の英語の先生を連れてお見えになった。俄かに国際交流の場となる。いろいろな話が飛び出したが、この先生が自炊をされ、おにぎりも作られるという話から、翌日の昼食は、おにぎりつくりの体験をし、少し早めに出発して「狐の嫁入り屋敷」を見学して集合場所へ行くコースを取ることになった。

午後は、水芭蕉の植えてある池の草取り作業をしてもらう。新潟といえども9月中旬の陽射しは厳しい。そんな中でも、生徒たちが頑張ってくれたお蔭で、池が見違えるようにきれいになった。
その後、佐藤さんの大きな石の彫刻を運ぶためのトラックへの積み込み作業を手伝ってもらう。ユニックが借りられなかったので、最も原始的な方法を取らざるを得なかったが、生徒たちの体験のためにはこの方が良かったと思う。
夜は、ゆっくりと桃源の湯に入ってもらい。ご所望のカレーライスを腹一杯食べてもらう

最終日の朝も、6時作業開始、残りの草むしりを終らせる。朝食の後は、予定通り、おにぎりを作る。
その後、薪運びと風呂掃除を手分けして行う。
はじめての大サービスで、約束どおり「狐の嫁入り屋敷」に行き、おにぎりを食べ、写真を撮って集合場所へ向かう。

筆者にはまだ、大丈夫です言っていたが。マキ子さんには少し疲れましたと話したそうである。本音は相当に疲れている筈である。車の中でぐっすりと眠る姿にはまだあどけなさも残る実に素直な子たちであった。

閉校式でも各民家の皆様に「素直な生徒たちだ」といわれたことが何よりの「お土産です」とご担当の先生がお話されていた。
いたずらに教育の荒廃が叫ばれる中にあって、校風というか、教育環境こそが大切であることを改めて痛感するとともに、こうした体験学習という新しい試みを続けられている学校の姿勢にこちらが清々しい気持ちにさせられた。(御沓一敏)