2011.06.28
体験学習未来の芽
鈴木隆雄

 6月22日(水)〜24日(金)、季節は梅雨に入り雨の続くなか、東京都から元気な都立高校男子1年生5名の生徒の皆さんが佐藤家に到着。

 農家体験学習は外での作業が主なので、雨のなかでの体験メニューをあれこれ考えるのに工夫がいる。

幸い佐藤家では、工房の建屋の下屋で雨にぬれずに薪割などの作業が出来る。その建物の周辺には手作りのヒノキ風呂があり、周辺の敷地は広く、山から伐採してきたたくさんの杉の丸太が山積みにしてある。

 生徒の皆さんが佐藤家に着いたのは午後4時半ごろだったろうか、丁度その時から雨になった。即体験学習が始まった。入浴前の一仕事、さっそく風呂掃除、薪割りをしてから入浴することになった。

お風呂は、「桃源の湯」と名付けられ、山の高台にあり森林に囲まれ崖下には渓流が流れ眺めのよいスポットにある。山からの伏流水を引いて、薪を焚いて沸かした湯は体をすべすべさせ疲れをいやしてくれる。

生徒の皆さんは、東京からバスの長旅に疲れた様子もなく、会話も弾みにぎやかな入浴風景であった。

 その日の夕食はチラシ寿司、麩(ふ)を下ごしらえしカツに揚げたもの、野菜サラダ、ニラの味噌汁といった献立で、米は無農薬ここで生産したものである。野菜も畑でつくり、旬の山菜もその時期に収穫したものを食卓でいただくことができる。

 2日目、今日一日が体験学習の本番である。雨が降り続いている。生徒の皆さんは早起

きだ。起床時間前には起きて待機していた。朝一番にみんなで天然水を汲みに行った。雨の日に今では着ることのない蓑と蓑笠があったので、それを着て材木運びをし、それから朝食をいただいた。

 雨の中での労作体験なので下屋での薪割りが中心になった。それでも、途中小降りになったので田んぼの草取りをした。また、てづくり味噌の袋詰めも体験メニューとした

昼食はマキ子おかあさんの10割手打ちそばだ。料理の得意な生徒が厨房に入り天ぷらを揚げてくれた。

 3日目、3泊2日実質2日間の体験学習最終日、朝7時50分に阿賀町公民館へ集合することになっている。5時半には起きて待機していた。早い朝食を済ませ帰る間際になって、生徒の皆さんからお礼を言いたいのでと一人ずつ話してくれた。

『この2日間おせわになりました。都会では味わえない美味しい空気、天然水、無農薬の米や野菜をいただきありがとうございました。』

『ぼくは毎日お肉を食べて生きてきました。お肉を食べなくても生きていけることを知りました。ありがとうございました』

『都会では味わえない体験をさせていただきすごく感謝しています。ありがとうございました。』

『そばがおいしかったです。』

『農業とかは沖縄でやったことがあり簡単に考えていました。ここでは無農薬にこだわっていて、田んぼの雑草取りが大変だった。無農薬って大変なんだなあとおもい、薪割りなどもこんな少ない人数で大変なんだなと思いました。おいしものをつくるには辛いものがあるということがわかったので、とっても良い勉強になりました。ありがとうございました。』

短い期間ではありましたが、生徒の皆さんは里山の農家に宿泊し、生活体験を通していろいろなことを感じ取ってくれたように思いました。帰国子女の2人の生徒さんを含め5人の生徒の皆さんは明るく、部屋で寝るときも、風呂に入るときも一緒に共に過ごし、チームワークも良かったように思いました。

都会と田舎、日本と外国どんな環境にあっても、人と人の交流そこに信頼関係が生まれれば、和が広がって行きます。そのことをこれからの時代を担う若い皆さんに期待します。