2006.09.29〜30
体験学習・T中学校生

前日は雨であったが、生徒たちが来る日は幸いに晴れた。
マキ子さんの代わりに迎えに行き、対面式に出席する。校風というものは何となく分るもので穏やかな雰囲気が伝わってくる。
和彩館に決まった埼玉県・T中学校男子生徒4人は笑顔の良い、素直そうな子たちであった。
挨拶の徹底と感謝を忘れず、大きな声でコミュニケーションをとろうと約束する。

到着後、荷物を置いて、早速、自分たちが夕方入る風呂の掃除とお湯を沸かす方の二手に分かれて作業をしてもらう。
掃除の方はさておき、火をつける方はいつものことながら、ライターのつけ方から時間がかかる。
何の材料のどの部分が一番燃え安いのか。炎はどういう方向に行くのか。学校で学ぶこととの関連付けを考えさせながら体験してもらう。

火が消えないように大きな木材をボイラーの中へ放り込んで、田んぼへと向かう。
何日もかけて刈った草が大量に広がっている。これを全て燃やす作業である。ボイラーでの火付けの体験を活かしながら、今度は他の生徒にやってもらう。

1つの仕事が少し長く続くと飽きてくる。休憩を挟み 身近な話をしながら動かす方もそれなりにエネルギーが必要である。
お昼前にSLが通るのを見ることができた。土日に来る学校は久しぶりである。
生徒たちは大いに喜んだが、誰もカメラを持っていなかった。夕方の戻りのSLを撮るために一番大きく正面から見える場所へ連れて行くことを約束して昼食後も同じ作業を続けた。

何とか、目標の作業をやり終えて、SLの撮影場所へと向かう。後から他の民家に泊まっている同じクラスの生徒たちもやって来た。しかし、この日に限って、1時間以上待ったがついにSLは姿を現さなかった。
がっかりする生徒たちを慰めながら、自分たちで沸かした風呂に入ってもらう。

翌朝は、6時半からスタートというと驚いていたが、夏場の体験に比べれば楽なもので、30分遅いし、力仕事はない。
佐藤さんが絵を描き、地元の大家が書を書く予定の、国道459号側面のコンクリートの汚れを洗い落とす作業をしてもらう。
班長自ら、1人1区画、合計4区画はやりたいという目標を設定したが、2区画に1時間かかって、朝作業を終了した

朝食後は、縄文館と美術館の見学をする。意外なことに、縄文に興味を示す生徒が多かった。
次に、早昼用のサンマを焼くための炭に火を起こしてもらう。火に関する作業は3度目だが、担当や対象が変わるとまた、途惑ってしまう。

やっと、終わった時に残された時間は30分。「この時間内で残りの目標2枚をやり切ろう!」と声をかけると「ハイ」と俄然、皆張り切った。
特に気力が長続きしないように見えて気になっていたT君が先頭を切って働きはじめたのには驚いた。後で聞いたところでは、自分でも他人評価でも“追い込み型”なのだそうで、こちらも胸を撫で下ろした。
ついに目標を達成したが、その時の笑顔は晴れやかで、第一印象に違わず、素直な子たちであった。

帰り際に、もう少し、ここに残りたいと言う生徒もいたが、できれば2泊3日くらいの時間を過ごしてもらえればと思った。(御沓一敏)