2007.05.29~30
体験学習・T中学校生

29日、午後4時過ぎ、神奈川県よりT中学校の男子生徒4人が1泊2日の予定で訪れた。挨拶もできるし、穏やかで、素直そうな子たちである。

1泊2日であっても、夕方来て、翌日の昼前に帰るとなると、体験の時間は限られてくる。早速、着替えの後、石夢工房に行き、全員で薪の積み込みをやってもらう。次にこれを降ろす組と風呂掃除をしてもらう組に分けようとしたところ、自分たちですすんで決めていった。その中に友達同士の優しい気遣いが見られた。

 その後は、電気式チェーンソーで大きめだが、柔らかい木を切ってもらう。大変だったと言うのかと心配していたところ、全員がおもしろかった。楽しかったという感想だったのでホッとした。

 夕食は畑で採れた新鮮野菜のサラダにカレーライス。ご飯は佐藤家のお母さんが薪で焚いたふっくらご飯。風呂もストーブも全て、薪で済ませる生活体験を話して聞かせながら食べる。生徒たちの食欲は想像したよりはあり、まずは一安心である。
  そこへ地元のお助けマンFさんが珍しい萱の実を炒って持ってきてくれた。地元の方の訛りを聞きながら、筆者もはじめて味わう渋みの効いた不思議な食感は、子どもたちにとってもよい想い出になったはずだ。

 事前にもらった手紙でピアノを弾ける子がいることが分っていたので、食後に演奏して欲しいとお願いしたところ、快く受けてくれた。これもこのときここでしか出会うことのない思いがけないプレゼントである。

 翌朝は6時半からの作業開始。美術館と縄文館の清掃と見学を行う。掃除はお客さんになったつもりで、喜んで働く“朗働”の大切さを述べる。また、縄文館では 、年号の記憶方法に終始するのではなく、自分たちの先祖の歴史、その内容に学ぶ話をすると一所懸命耳を傾けてくれるので、こちらが、逆に励まされているようであった。

 朝食の後、佐藤家のお母さんからたっての願いということでピアノの演奏が再び行われた。

  いよいよ、残された時間の中でまき割りに挑戦する。

  素直にこちらの言うことを聞いてくれるので、徐々に進展は見られたが、恥ずかしさが先に立つのか、今ひとつ自分の喜びを思いきり表現できていないことに気付いた。ここは都会と違って、猿や熊以外、人は誰も見ていないし、広い場所なのだから、思いっきり声を出すように、また、声の言霊は肥に通じる詞で、お互いが掛け合うことによって元気になれるのだという話をすると眼を輝かして聴いていた。

やがて、U君が割れた瞬間、「ヤッター」という大きな声を発した。すぐに、実践したことを誉めると、外の子も次々に大きな声を出せるようになった。

短い時間ではあったが、思い出として何かを心に刻んでくれたら幸いである。(御沓一敏)