2016.04.24
移住のお世話
佐藤賢太郎 

限界集落になりつつある阿賀町ですが、具体的に移住者は現れていません。なぜ、どうしたら良いのか。この課題に答えられる方は少ないと思います。そうしたなかで、私たちは積極的に具体的行動をとって移住者のお世話をしています。 

Fさんの場合は、空き家の掃除をして地元の方との面識ができ、すでに移住をしているようなものです。それを私たちがサポートしています。ともに助け合わなければ、移住は叶わないのです。

もうひとり、移住を強く求める女性がいます。ところが、貸し手方の段取りがなかなかできなくて、進んでおりません。そんな折、今は当地に住んでいない貸し手の方が後片付けに来られました。

帰りに、家内はコーヒーでもどうぞ、ともてなしをしました。その帰り際のことです。「ごみを出してください、私たちが捨てますから」というと、彼女は「そんなことはできません。自分のことは自分でします」と言いました。「そんなことを言うなら、もう私たちはあなたと関わりはもちません」と家内は本気で怒りだしました。

彼女は「他人に迷惑をかけられません。私は今まで一人で生きてきました。何度も人に裏切られていきました。だから人に助けて頂こうと思わない生き方をしてきました」と、家内に泣きながら訴えました。

そこで家内は「人の世話にならないで生きている人は誰もいません。世話になったり、世話をしたり。助け合いながら生きているものです」と大きい声で諭しました。すると彼女は「都会に住んでいると、そのような方に出合わなかった。孤独に耐えて一人で生きてきたので嬉しくて涙が出ました」と、付け加えました。彼女は内心、どうして私が怒られるのか解らない、私こそ頭に来ると思ったほどだったと言います。 

「貴方はもっと心を開き、甘えなさい。ゴミは出して、私が捨てます」と家内が改めて言うと、集めた多くの袋を出してきました。

その夜、彼女から珍しく電話がかかってきて「奥さん怒っていませんか、これからはいろいろ相談します」と、今までにない言葉を聞きました。

これで、移住の話は動きはじめました。これは真実の話です。空き家があるだけでは、移住はどうにも進みません、私たちのように地元にさまざまに対応できる人間がいないと難しいと思います。