2009.10.13
里山談義
森 紘一

 「第6回里山アート展」のオープニングレセプションとして、「2009奥阿賀・田んぼ夢舞台祭り」が唄と踊りで賑やかに開催された。10月10日(土)の昼下がり、JR豊実駅前の会場周辺は200人を超す人出となった。

そのアート展会場からほど近い「和彩館」では、“今、なぜコスモ夢舞台なのか”と題するシンポジウムが15時半から静かに始まった。

 進行役は賢太郎さん、コーディネーターは奥会津書房の遠藤由美子編集長。会場は、地元の皆さん、田んぼ祭りに参加された出演者、アート展に出品参加された作家先生、実行委員会のメンバーなど、約50名でほぼ満席状態だった。

 これまで12年間の足跡や豊実に通う仲間たちの想いを編集長の感性豊かな語り口で紹介いただくと、山と川に囲まれたひなびた豊実の醸し出す安らぎの空間が倍増されて心に響く。ここに漂う空気とゆったりとした時の流れこそ、まさにコスモ夢舞台の魅力なのだ、とわたしもおもう。

 ごく自然な問いかけで、田んぼ祭りに参加された皆さんの声や里山アート展に出品されている作家先生の熱い想い、地元の皆さんの感想も汲みあげられて、会場は和やかなフリートーキングの場となっていった。

 地元の方から「きょうの田んぼ祭りは、集落の者は知らない人が多かった」という発言があり、コスモ夢舞台のこれからに話が転じると、会場の雰囲気は緊張してきた。    

編集長の言葉を借りれば、まさに‘無私の心’でコスモ夢舞台はここまで歩んできたわけだが、これをどう継続維持していくかは大事な課題である。東京ブロックの例会や豊実の土木作業のあとで、マンパワーや人手の問題はいつも話し合っているテーマである。

 我われにしても、コスモ夢舞台に興味と関心を寄せてくださる地元の人々には、ぜひ引き続きご協力をいただきたいし、できれば、ひとりでも多くの方にスタッフとして運営に加わっていただきたいというのが本音である。

 地元集落の方々へのイベントのお知らせは、チラシや案内状ではなくコスモ夢舞台らしい特色ある方法(例えば、ホラ貝を吹くとか、ノロシをあげる等)を考えてみては、というアイディアを編集長からいただいた。

 日出谷、津川、三川といった近隣集落から出席されていた方からも、お互いに情報連絡を密にして連携を強めていこうという声もいただいた。

 コスモ夢舞台は、最初から地域再生や活性化を掲げていたわけではない。しかし、アート展や田んぼ祭り、食とビオトープづくり、体験教育に集約されるそれぞれの事業企画やイベンントを推進していくと、都市や海外の人々との交流は盛んになり、結果としてそれが地元の明るさや元気につながってくる。いずれにしても地元との共同歩調は不可欠である。

 今回の里山談義は、明日につながる実りのあるシンポジウムとなった。都市と田舎を結ぶあり方を考える機会ともなった。これからは、こうした里山談義を継続的に行っていくことで半歩ずつでも前に進んでいきたいとおもう。              

コーディネーター役の編集長には、あらためて感謝の言葉を申し上げたい。